30代で使っていた白髪染めが50代に相応しいとは限りません。
なぜなら、毛髪や頭皮の悩みは年齢によって変化するから。
そこで今回は、50代の女性に向けて最適な白髪染めの選び方を踏まえたうえで、オススメ商品をランキング形式でご紹介します。
50代によくある髪の悩み
50代という年齢を迎えて、急激に髪の悩みが増えたという方も多いのではないでしょうか。
ヘアケア用品の大手メーカーである花王によると、白髪を気にしている50代女性の割合は驚異的な数値だったと報告されています。
参考URL:白髪|髪の知識|花王株式会社 ヘアケアサイト
▼50代女性の意識調査(白髪を気にしている割合)
- 50~54歳:98%
- 55~59歳:100%
また、現役美容師である筆者が担当しているお客様からは、下記のような悩みが寄せられています。
▼白髪に関する悩み
- 自分に合う白髪染めのカラーが分からない
- 今まで使っていたカラーだと、実年齢に合わなくなった気がする
- 急に白髪が増えて、外出する気にならない
- 白髪染めをしても、すぐ根本から生えてくる
- 白髪染めの頻度と比例するように白髪も増えた
特筆すべきは、50代の女性にとって髪の毛の悩みは白髪だけではない、という点でしょう。
▼髪全体に関する悩み
- 薄毛
- トップのボリュームが乏しい
- 髪の毛が細くなった
- ハリやコシが弱まった
- うねり毛が増えた
- 広がりやすくなった分、まとめにくくなった
- しなやかさが失われた
- パサパサに乾燥し、枝毛や切れ毛が増えた
- 同じようにケアしていても、症状が改善しない
50代向け白髪染めの選び方
30代と50代とでは、白髪染めの選び方にも多少の違いがあるのをご存知でしょうか。
毛髪やお肌にとってより負担が少なく、なおかつ毛質改善も同時に叶えてくれる白髪染めが理想的です。
▼50代が白髪染めを選ぶポイント
- エイジングケアに役立つ成分を含んでいる
- 化学薬品系よりオーガニック系を選ぶ
- アルカリ性より弱酸性カラーを選ぶ
- 泡タイプより液状タイプを選ぶ
エイジングケアに役立つ成分を含んでいる
50代の髪の毛は、30代よりも潤いの減少・ハリの低下・うねりの増加といった加齢による影響が目立ちます。
だからこそオススメしたいのが、エイジングケアに役立つ成分が含まれている白髪染めです。
市販の白髪染めを選ぶ際は、成分表に下記が記載されているか確認してみましょう。
▼毛質改善に役立つ有効成分
- ダメージの修復:加水分解ケラチン/加水分解シルク/ヘナ(ローソニア)/Y-ドコサラクトン
- 保湿:セラミド/コラーゲン/ヒアルロン酸
- 臭いや頭皮の痒み:グリチルリチン酸2K/センブリエキス/ショウガエキス
- 白髪増の抑制:ヘナ(ローソニア)
なお、「白髪染めと毛質改善を両立させたい!」という方は、ぜひ下記の記事をご一読ください。
化学薬品系よりオーガニック系を選ぶ
2つ目にオススメしたいのが、オーガニック系の白髪染めです。
女性は50代にもなるとホルモンバランスが不安定になり、それにつれて毛質や頭皮環境も変化します。
中には、「以前より痒みが酷くなった!」「皮脂や臭いが気になる!」という方も珍しくありません。
そもそも一般的な白髪染めは下記のような化学薬品によって構成されており、少しずつ体内に蓄積されていきます。
30代から白髪染め始めた場合、約20年間にわたって蓄積された体内の化学薬品が許容量をオーバーし、50代を迎えて突然アレルギーを発症するケースもあるのです。
▼50代にとって危険な化学成分
- ジアミン(PPD)
- 過酸化水素(ブリーチ剤)
- レゾルシン(レゾルシノール)
- タール色素
- パラベン
その点、オーガニック100%の白髪染めなら化学薬品による毛髪・肌ダメージを回避できるうえ、中には髪質を若返らせる効能を持つハーブが配合されている商品もあるのです。
ケミカル系の白髪染めが人体に与えるリスクについては、下記の記事で詳しく解説しております。
アルカリ性より弱酸性カラーを選ぶ
次にオススメしたいのが、人の毛髪や頭皮と同じ性質を持つ弱酸性カラーです。
弱酸性カラーのメリットを見てみると、まさに50代の女性が抱えている悩みを一掃してくれることが分かります。
▼50代にとって弱酸性カラーが適している理由
- 艶が増し、若々しくなる
- 保湿性が高く、しっとりまとまる
- ハリ、コシが持続する
- 色持ちが優れている
- 続けるほど髪質が改善され、お手入れが楽になる
ちなみに、アルカリ性の白髪染めはジアミンをはじめとする化学薬品の含有率が高く、毛髪・頭皮を著しく傷めるため消費者庁でも注意喚起が行われています。
泡タイプより液状タイプを選ぶ
4つ目の選び方ポイントは、泡タイプより液状タイプを選ぶという点です。
泡タイプの白髪染めには、液だれしない分ビギナーにも扱いやすいうえ、染毛力が強いため短時間で染まるというメリットがあります。
その反面、浸透力が強化されているので毛髪・頭皮へのダメージは甚大です。
髪の毛だけでなく、頭皮環境にもエイジングサインが現れる50代の女性にとっては尚更でしょう。
50代にオススメの白髪染めカラー5選
50代の女性が白髪染めを選ぶ際、最も悩ましいのが「カラー」選び。
確かに、日本人形のような艶やか黒髪は女性らしさを演出してくれますが、50代が真っ黒に染めてしまうと「ムリに若作りしている」という印象を与えかねません。
そこでここからは、50代の女性に相応しい白髪染めの「色」についてご紹介します。
▼50代にオススメの白髪染めカラー
- アッシュカラー
- グレージュカラー
- 明るめのブラウン
- ハイライト(シャンパンカラー)
- グレイヘア
アッシュカラー
アッシュカラーとは、名称にAsh(灰)という英語が含まれていることからも連想できる通り、灰色が混ざったくすんだ色を指しています。
「ブラックだと不自然だし、かと言ってブラウンでは物足りない…」という方に人気です。
スーツとの相性も良く、上品に見えるのも大きな魅力。
透明感を醸し出してくれるので、特に年相応のオシャレを楽しみたいという50代にオススメしています。
「いずれはグレイヘアに切り替えたい!」という方にも、プロセスの一環としてオススメしたいカラーです。
グレージュカラー
2つ目にオススメするグレージュカラーとは、「グレー」と「ベージュ」をミックスさせたカラーを指しています。
ブラウンよりも明るく、プラチナブロンドよりも暗いのが標準的。
2色の割合を工夫することで自分だけの色合いを創作できるのも、オシャレな50代に人気の理由でしょう。
▼割合による変化
- グレーを強めにする:気品があってクールな印象
- ベージュを強めにする:あたたかい雰囲気を演出
明るめのブラウン
3つ目にオススメしたいのが、最も無難で挑戦しやすい明るめのブラウンです。
50代の女性は白髪を隠したいあまり濃い色合いを選びがちですが、生え際とのコントラストがクッキリと目立ってしまうのが最大のデメリット。
その点、明るめのブラウンなら白髪が多少伸びてきても全体に紛れるため、頻繁に染める必要がありません。
美容業界では、手間と費用の負担を軽くしたい50代にオススメしたい定番カラーと言われています。
ハイライト(シャンパンカラー)
4つ目にオススメしたいのは、髪全体を単色で染めず、あえて白髪と白髪ではない部分を染め分けするハイライトです。
例えば、下記の染め分けは別名シャンパンカラーとも呼ばれており、白髪染めで個性を演出したい50代に選ばれています。
▼ハイライト(シャンパンカラー)の一例
- ベースとなるパート:明るめのブラウン
- 白髪が多いパート:光沢のあるグレー
グレージュと同じく、色の組み合わせや配合の割合によって多彩なカラーが作り出せるのも、ハイライトならではの魅力でしょう。
少しずつ馴染ませるのが特徴で、視覚効果により意外と白髪が目立たないのも人気の理由です。
グレイヘア
白髪染めを辞めて、ありのままの状態を受け入れる50代女性も増えているようです。
芸能人や著名人がグレイヘアを宣言して以降、いっきに注目されるようになりました。
とは言え、何もせず放っておけば良いという訳ではありません。
50代が抱いている髪の毛の悩みは、白髪もさることながら加齢によるダメージも大きなウエイトを占めています。
うねり・パサつき・切れ毛・枝毛などが多いと、実年齢より老けて見えてしまいます。
ヘアマニキュアやトリートメントなど、50代に適したエイジングケアは欠かせません。
50代がセルフで綺麗に染めるコツ
ここでは、50代だからこそ気を配りたい白髪染めの注意点について解説します。
白髪染めをキレイに仕上げ、なおかつ毛髪・お肌・頭皮・手へのダメージを最小限にするには、どうしたら良いのでしょうか。
▼50代がセルフで白髪を染めるコツ
- リタッチ(生え際の部分染め)の活用
- 白髪量に合わせたベストな頻度
- 生え際・耳にクリームを塗っておく
- 素手OKの商品でもグローブは必須
- 水に色がつかなくなるまで充分に濯ぐ
- 濡れた髪を放置しない
リタッチ(生え際の部分染め)の活用
50代のほとんどは、「すぐに根本の白髪が生えてくる…」「その都度染めていると、髪の痛みが加速する…」という悩みを抱えています。
確かに、成人女性の髪の毛は1ヵ月で1~1.5cmほど伸びますので、白髪の分量が増えてきた50代にとっては手間・毛髪ダメージ・お金の全てにおいて相当な負担です。
そんなお客様には、生え際だけをピンポイントで染めるリタッチをオススメしています。
特に毛先は頻繁に白髪を染めるほどダメージが深刻になりがち。
リタッチの方が毎回髪全体を染めるより、乾燥によるパサつき・広がり・うねりといった50代ならではのリスクを軽減することができるのです。
なお、「自宅でリタッチすると上手く染まらない!」という方は、下記の記事にて詳しい対処法をご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
白髪量に合わせたベストな頻度
白髪量は、同じ50代でも人によって大きな差があります。
白髪染めの頻度は「50代だから月に1度」といった具合に年齢で決めつけず、あくまで白髪の分量に合わせて調節しましょう。
ちなみに、当サロンでオススメしている白髪染めの頻度は下記の通りです。
▼分量によるベストな頻度
- 白髪量~30%:1ヵ月半~2ヵ月に1回の全体染め
- 白髪量30~50%:1カ月に1回のペースで、リタッチと全体染めを交互に行う
- 白髪量50%以上:3〜4週間に1回のペースで全体を染め、生え際は都度リタッチで対応
なお、白髪染めの理想的な頻度については下記の記事でも詳しく解説しております。
生え際・耳にクリームを塗っておく
50代の女性にとって、白髪染めでダメージを負うのは髪の毛だけではありません。
保湿力が低下している50代のお肌に染料が付着すると、かぶれ・肌荒れ・アレルギーを誘発する可能性が高いのです。
そこでオススメしたいのが、市販のワセリンや保湿クリームを活用した事前準備。
あらかじめ生え際(おでこ・モミアゲ・襟足など)や耳周りに保湿剤を塗っておくだけで、肌に負担をかけずに染料を除去することができます。
素手OKの商品でもグローブは必須
40代から50代後半にかけて、顔よりも「見た目年齢の差が出る」と言われているのが「手」です。
市販の白髪染めの中には「素手でも安心して使える!」というキャッチフレーズを売りにしている商品もありますが、手袋なしで使用するのはオススメできません。
たとえ自宅のお風呂で使えるカラートリートメント系の白髪染めであっても、爪に染料が残らないよう手袋をした方が無難です。
特に、短時間で染まるジアミン系の白髪染めを使用する際は、必ずグローブを着用してから使用しましょう。
水に色がつかなくなるまで充分に濯ぐ
「すすぎ過ぎると色落ちが早まるのでは?」と思われがちですが、むしろ頭皮や毛髪に余分な成分が残っている方がリスキーです。
中には、「枕に白髪染めの色が移ってしまった!」「茶色い汗が垂れてくる!」という経験談も少なくありません。
特に50代の女性は頭皮の状態が乱れがちですから、白髪染めの成分が残らないよう地肌までしっかり濯ぎましょう。
ちなみに、美容室でキャンプ―をする時、手のひらにぬるま湯を貯めて生え際をタプタプと濯ぐのは、一番染料が残りやすいのが髪の毛の根本だから。
地肌を傷めずに残った染料をキレイに洗い流すには、片手を添えながらシャワーヘッドを頭皮に近づけるサロン方式がオススメです。
濡れた髪を放置しない
白髪染めの匂いや色落ちを防ぐには、濡れた髪を放置しないことが原則です。
しっかりとタオルドライをした後、すぐにドライヤーで乾かしましょう。
ただし、濡れた髪の毛をタオルで擦るのはオススメできません。
表面をコーティングしている染料が色落ちしないよう、髪の毛をタオルで挟んで軽く叩くようにして水分を取り除くのがコツです。
50代にオススメ!市販の白髪染めランキング3選
では最後に、現役美容師として50代の女性にこそオススメしたい市販の白髪染めをご紹介しましょう。
▼50代にオススメの白髪染めランキング
- 1位:木木と(ヘナ)
- 2位:利尻昆布ヘアカラートリートメント
- 3位:LPLP(ルプルプ)
第1位:木木と(ヘナ)
最もオススメしたいのは、50代が抱えている髪の悩みをまとめて改善してくれるオーガニック成分がふんだんに含まれている「木木と(もくもくと)」です。
中でも主成分であるヘナは、白髪が増える原因である活性酸素を抑制・除去してくれるローソニア、加齢によって悪化した毛髪の空洞を穴埋め・強化してくれるタンニンの含有率が高いことで知られています。
つまり、「木木と」なら白髪染めとエイジングケアが同時に叶うのです。
有効成分 | 効 能 |
---|---|
ヘナ | 白髪の抑制(活性酸素除去作用)/ハリ・コシ・ツヤを与える |
ウイキョウ(フェンネル) | 白髪の抑制(活性酸素除去作用)/消臭効果/リラクゼーション効果 |
アムラ | ハリ・コシ・ツヤを与える/育毛作用/抜け毛防止/殺菌作用 |
クマノギク | 育毛作用/抜け毛防止/炎症・かゆみ止め |
カシアアウリクラタ | 損傷毛のケア/乾燥防止/頭皮の洗浄作用 |
コラーゲン | 乾燥予防/保湿 |
間充物質(NMF成分) | 潤いと栄養を与える |
ダイズ(油脂成分) | ツヤを与える |
ホホバ | 紫外線からの保護 |
スクワラン | 紫外線からの保護 |
シジュウム(グアバ) | アレルギー症状の緩和/炎症・かゆみ止め |
ニーム | 抗菌作用による頭皮環境改善/消炎効果/保湿作用 |
甘草 | 抗炎症作用/かゆみ止め |
シカカイ | 頭皮の洗浄・抗菌・抗炎症作用 |
ムクロジ | 頭皮の洗浄作用(天然の界面活性剤) |
毛髪改善に優れていると聞くと「染毛力が弱いのでは?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、従来のヘナ商品が施術に3時間ほどかかっていたのに対し、こちらの商品はジアミン系と同等の1.5時間ほどで完了するうえ、1度でしっかり染まるのが魅力。
施術直後でも緑色やオレンジ色に染まることなく、ほぼ毎回同じ色に染まるのですから、業界で注目されているのも頷けます。
ヘナには珍しくカラーバリエーションが7種類もあり、50代という年齢に見合った染め色が選びやすいのも、現役美容師として自信を持ってオススメしたい理由です。
第2位:利尻昆布ヘアカラートリートメント
オススメランキング2位は、安全性に定評があるヘアマニキュアタイプの「利尻昆布ヘアカラートリートメント」です。
カラーバリエーションが4種類と少なめではあるものの、50代女性の髪悩みに役立つ有効成分は見逃せません。
▼50代にオススメしたい理由
- 髪にハリとコシを与えるフコイダン配合
- 髪に潤いを与えるリシリコンブエキス配合
- 加水分解ケラチンや加水分解シルクなどのダメージ補修成分
- ヒアルロン酸やデンプンポマリーなどの保護成分
- オドリコソウやローズマリーなど、22種類の潤い成分
- ジアミン・バラペン・鉱物油・酸化剤・シリコーン不使用の無添加
第3位:LPLP(ルプルプ)
3番目にオススメしたいのは、ドラッグストアで手軽に入手できるLPLP(ルプルプ)です。
何かと扱いやすさや優れた染毛力ばかりが注目されがちですが、50代の女性に嬉しい有効成分も豊富に含まれています。
▼50代にオススメしたい理由
- ラベンダー油やローズマリー油など、美容成分が豊富に含まれている
- 疲労除去の効果が見込める
- 北海道函館産のカゴメ昆布配合で、髪と地肌を保護してくれる
- 抗炎症成分であるグリチルリチン酸ジカリウム配合で、肌荒れ・炎症を抑制
- センブリエキスなど血流促進成分が配合されており、血流促進・育毛効果が期待できる
- パントテニルエチルエーテル配合で、薄毛改善・育毛促進に効果的
- HC色素と塩基性色素が配合されているため、1回の完成度が高い
まとめ
髪の悩みは年齢とともに変化します。
特に50代は白髪だけにとどまらず、加齢による影響が大きい分、多岐にわたるのが特徴です。
だからこそ、50代の女性にこそオススメしたいのがエイジングケアも叶う一石二鳥の白髪染め。
本記事でご紹介している市販の白髪染めは、美容師として自信を持ってオススメできる商品です。
美容室で専門のケアを受ける時間的・金銭的余裕がないという方は、ぜひお試しください。