最近、美容室で使われるイルミナカラーがセルフカラーで使用されることが多くなりました。
イルミナカラーは、上手に使えば好きな色を高いクオリティで自由に実現できる優れものです。
では、このイルミナカラーは白髪染めにも使えるのでしょうか。
この記事では、イルミナカラーをセルフで白髪染めに使う際に知っておくべきことを解説していきます。
イルミナカラーとは
イルミナカラーは、WELLA(ウェラ)が提供するサロン専用のヘアカラー剤です。
このカラー剤はスタイリストが施術することを前提に開発されました。
特徴的なのは、その驚異的なツヤと透明感です。
赤味が出やすい日本人の髪でも、赤みを感じさせない透き通るようなカラーを実現します。
イルミナカラーの一番の魅力は、髪表面に存在する金属イオン(とくに銅)が原因で起こるカラー剤との過剰反応を軽減する機能によって、髪のキューティクルのダメージを低減させられることです。
これにより、髪に優しいカラーリングを実現しながら、美しい輝きを放つ髪を手に入れられます。
イルミナカラーで白髪が染まる場合と染まらない場合がある
イルミナカラーは元々白髪染めを目的とした製品ではありません。
このカラー剤の特徴は透明感であるため、白髪を染める濃い色素が不足しています。
そのため、万人の白髪が染まるわけではありません。
ここでは、染まる場合と染まらない場合の違いについて見ていきましょう。
染まる場合
イルミナカラーで白髪がうまく染まるのは、軟毛の方や白髪の割合が20%以下の方です。
このような方は、イルミナカラーの持つ独特な透明感を維持しつつ、ブルーベースのアッシュ系「イルミナシャドウ」をブレンドすることで、自然に白髪をカバーできます。
しかし、イルミナカラーは白髪を完全に染めるというより、白髪を上手くぼかすのが得意である点に注意が必要です。
染まらない場合
イルミナカラーは、硬毛の方や白髪率が高い方にはあまり適していません。
イルミナカラーは白髪をしっかりと染めるのではなく、白髪の色味を調整して他の髪の毛との色差を減少させる効果が期待できます。
しかし、白髪をしっかりと染めたいと考えた場合、シャドウを大量に混ぜる必要が出てきます。
これにより、イルミナカラーの本来の色味や透明感が損なわれる可能性があるのです。
結果として、イルミナカラー以外のカラー材を選んだ方が硬毛の方や白髪率が高い方には適している可能性も考えられます。
イルミナカラーの注意点
イルミナカラーは確かに魅力的ですが、使用前に知っておくべき重要なポイントがあります。
本当にご自身に適しているか、十分に検討しましょう。
一般の消費者を対象にした製品ではないこと
イルミナカラーは美容師などのプロフェッショナルが使用することを想定した製品であり、一般消費者向けではありません。
購入を検討している方は、販売業者が一般消費者へのサポートを提供しているかを事前に確認してください。
もしサポートがなければ、使用中や使用後にトラブルが起こった場合にサポートを求めるのが困難になるでしょう。
白髪染めではないこと
白髪を完全に染めたい場合には専用の白髪染め製品を選ぶ方がおすすめです。
失敗して後悔するリスクを取りたくない方は、この点をしっかりと理解しましょう。
白髪染めとカラー剤の違いについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
ジアミンアレルギーがある方は使用できない
イルミナカラーはジアミン色素を使用しているので、ジアミンアレルギーの方はイルミナカラーの使用を避けるべきです。
また、ジアミンアレルギーを持っていなくても、トラブルを防ぐために使用前には必ずパッチテストを行いましょう。
ジアミンアレルギーについて、こちらの記事により詳細な記述があります。
イルミナカラーを使用するメリット
メリットがあるからこそ、イルミナカラーは人気が出ています。
では、どのような点に魅力があるのでしょうか。
ここでは、主なメリットを2つ紹介します。
一般的な白髪染めよりもダメージが小さい
イルミナカラーは、従来の白髪染めよりも髪のダメージを抑えられます。
一般的な白髪染めは染料が多く含まれており、結果的に染毛力は高まるものの、髪や頭皮に大きな負担をかける場合があります。
しかし、イルミナカラーは独自の「マイクロライトテクノロジー」によって、高い染毛力を保ちつつ、カラーリング中のキューティクルのダメージを軽減できるのです。
明るめの色にも染められる
イルミナカラーを使えば、白髪でも明るい色味に染められます。
多くの白髪染めは暗い色味が主流ですが、イルミナカラーなら透明感やツヤを保ったままトーンの明るい髪色を楽しめるため、白髪があるからと言って明るい髪色を諦める必要はありません。
シャドウを根元と全体で使い分けるテクニックを駆使すれば、白髪をうまくカバーしながら、華やかな明るいカラーが楽しめます。
イルミナカラーを使用するデメリット
イルミナカラーにはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
デメリットを把握し、十分に検討した上で使用しましょう。
すべて自己責任になる
イルミナカラーをセルフで使用する場合、すべて自己責任となります。
前述したとおり、このカラーはプロの美容師向けに作られたものです。
メーカーは、プロの知識と技術を持つ美容師が使うことを前提に製品を提供しています。
したがって、自宅での使用における頭皮のトラブルや予期せぬ仕上がりなどのトラブルが生じても、メーカー側は責任を負いません。
美容師が提供するサービスは、薬剤の選び方や配合、塗布技術など、数多くの知識と経験が必要です。
例えば、薬剤の明るさレベルやディベロッパーの種類選びは、髪の状態や希望する色に応じて変わります。
これらのポイントを理解していないと、望んだ色や仕上がりを得られないことも多いのです。
イルミナカラーをセルフで楽しむ際は十分な知識と注意が必要であり、リスクを理解した上で使用しましょう。
髪が傷まないわけではない
イルミナカラーは従来のカラー剤と比べ、髪へのダメージが少ないとされていますが、無害というわけではありません。
このカラーはアルカリカラーの一種であり、キューティクルを開いてその中に色を入れるものです。
そのため、使用することである程度のダメージを髪に与えることになります。
ダメージを最小限に抑えるためにも、適切なケアや後処理が大切です。
イルミナカラーを選ぶ際は、ダメージが少ないとは言ってもダメージフリーではないことを理解しておきましょう。
薬剤の選び方
薬剤の選び方は、セルフカラーの成功に大きく影響します。
選び方を間違うと、思ったような色味に仕上がらない可能性があります。
この選び方一つで、セルフカラーの結果が大きく変わるため、注意深く選択しましょう。
1剤(カラー剤)
まず、目指す色味、つまり色の種類を決定します。
次に、明るさ(レベル)の選択です。
イルミナカラーには6〜12レベルが存在し、数字が大きくなるほど髪色が明るくなります。
例えば、6レベルは地毛の黒髪よりわずかに明るい程度です。
実は、日本人の平均的な黒髪の明るさは4レベルと言われています。
例として「オーシャン8」という表記の場合、色味はアッシュ系で、明るさは8レベルという意味になります。
このように、1剤の選び方で、染めたい色と明るさをしっかり定めることが重要です。
2剤(ディベロッパー)
「2剤」は、カラー剤の働きをサポートする重要な役割を果たします。
とくに、白髪染めの際には基本的に6%の濃度が推奨されます。
3%のディベロッパーの方が優しさを感じるかもしれませんが、実際の染まり具合は弱いのが特徴です。
市販のカラー剤は、この染まり具合の不足を避けるため、一般的に6%が使用されています。
使用する2剤の濃度は、髪の部位や想定されるダメージによって異なります。
例えば、根元には6%、中間部には4.5%、毛先には1.5~3%の濃度を選び、適切な染まり具合を追求しましょう。
セルフカラーの人気商品である「泡カラー」は、髪全体に6%が使用されているため、とくに毛先のダメージが懸念されます。
結論として、2剤の選択は髪の状態や染めたい目的に応じて適切に使い分けることが大切です。
セルフカラーに便利なアイテム
セルフカラーを成功させるためには、適切なアイテムの準備が欠かせません。
ここでは、セルフカラーをスムーズに進めるための3つの必須アイテムをご紹介します。
これらのアイテムを使用することで、セルフカラーを安全かつきれいに行うための一助となるでしょう。
ヘアダイクロス
セルフカラー時の服の汚れを最大限防ぐには、ヘアダイクロスの使用が効果的です。
袖付きのヘアダイクロスが最も使い勝手が良いです。
袖付きが良い理由は、手を動かす際に袖がカラー剤から手や腕を守ってくれるためです。
洋服にカラー剤が付着すると、落とすことがなかなか難しく、洗濯しても完全には落ちません。
ヘアダイクロスを持っていない場合、セルフカラーを行う際に汚れても問題ない服を選ぶことをおすすめします。
イヤーキャップ
例え手際良くカラーリングを行っても、耳にカラー剤が触れる可能性は高いです。
カラー剤が肌に触れたとしても、1日経てば自然に消えることが多いのは確かですが、アトピーの方や肌がデリケートな方は、イヤーキャップを利用することで肌のトラブルを防げる可能性が上がります。
また、大胆にカラー剤を塗れるようになるため、細部まできれいにカラーリングをしたい方にもイヤーキャップの使用を推奨します。
手袋
手の甲や指などの肌に付いたカラー剤は時間と共に消えるかもしれませんが、爪は髪の毛と似たタンパク質でできており、一度染色されてしまうと爪を切るまでその色が続いてしまいます。
そのような事態を防ぐためにも、カラーリングの際は必ず手袋を着用してください。
プロの美容師もカラーの際に手袋を使用するのは、このような理由からです。
イルミナカラーの使用手順
イルミナカラーをセルフで行う前に、全体の流れを把握しておきましょう。
先の手順が分からない状態で行うよりもミスが減り、美容院レベルの仕上がりに近づきます。
ここでは、4つの手順に分けて説明します。
薬剤の作成
イルミナカラーで髪を染める際、薬剤の正確な配合が重要です。
まず、1剤と2剤を混ぜ合わせることから始めます。
一般的な比率は1:1ですが、12レベルのカラーの場合は2剤が倍の量となります。
この比率を守り、目分量ではなく計量器を使って正確に計りましょう。
次に、薬剤の使用量です。
ショートヘアの場合、1剤・2剤ともに60gが目安となります。
ロングヘアの方は、1剤・2剤それぞれ80〜90g必要です。
少量の薬剤ではムラになる危険性があるため、たっぷりと塗布することが大切です。
余った薬剤は未混合であれば保存が可能なので、多めに用意しても問題ありません。
塗布
塗布を成功させるカギは、髪が適度に濡れている状態にすることと、薬剤を惜しみなく使うことです。
具体的な目安としては、タオルドライ後のような状態が最適です。
濡れた髪の方が薬剤のムラを防ぎやすく、均一な仕上がりが実現しやすくなります。
もちろん、発色を最重要視する方や塗布技術に自信がある方は乾いた状態での塗布も選択肢の1つとして考えられます。
その上で、たっぷりと薬剤を均一に塗りましょう。
とくに白髪染めを目的とする場合は、髪が十分に薬剤に浸されていることを確認してください。
放置
髪全体にカラー剤を塗布し終えた後、30分間放置してください。
この30分間はイルミナカラーが髪を明るくし、豊かな色味を髪に定着させるための大切な時間です。
もし時間を短縮してしまうとカラー剤が十分に作用せず、イルミナカラー独特の美しい発色を得られません。
他のメーカーのアルカリカラーにも同じことが言えますが、放置時間を守ることでヘアカラーの仕上がりが一段と美しくなりますので、放置時間はしっかりと守りましょう。
洗い流し
シャンプーを使用する前に、「乳化」という工程を行いましょう。
これは、カラー剤がまだ髪に残っている状態でお湯をかけ、全体に馴染ませることを指します。
色のなじみが向上したりシャンプーの泡立ちが良くなったり、カラー剤の残留が減少したりするなどの効果があるのです。
カラー剤の残留は頭皮のトラブルの原因となるだけでなく、髪のダメージや洋服への色移りのリスクも上げてしまいます。
とくに「残留アルカリ」という成分は完全に洗い流すことは難しいものの、髪のダメージに繋がるため可能な限り洗い流す努力をしましょう。
また、カラー後のアルカリを効果的に除去できるシャンプーも販売されていますので、使用を検討してみると良いでしょう。
おすすめのシャンプーとタイミングについて、以下の記事にわかりやすくまとめているのでぜひご覧ください。
イルミナカラーで白髪染めにおすすめの色とレシピ
ここでは、イルミナカラーを使用する際に白髪染めに利用できるレシピを3つ紹介します。
ただし、髪の状態や白髪の割合に応じて調整が必要ですので、セルフでの染め方には注意が必要です。
グレージュ
グレージュの場合のオススメの薬剤は、「NUDE8(ヌード8)」「NUDE12(ヌード12)」や「SHADOW(シャドウ)」です。
8や12という数字は染め上がりの明るさを示し、例えばヌード8であれば8レベルの明るさを持っているということになります。
しかし、これは白髪がない場合の明るさです。
白髪は本来の黒髪よりも明るく染まる性質があります。
そのため、ヌードのみでは白髪の多い方には十分な効果が得られない場合があるのです。
そこで、白髪のある方は、ヌードにシャドウを混ぜればグレージュが実現できます。
シャドウは10%~30%の範囲でヌードに混ぜるのがおすすめです。
シャドウを多く混ぜれば色味がブラウン寄りになるため、バランスを見ながら調整してください。
モスグリーン
イルミナカラーの「フォレスト」は、モスグリーンのような緑系の落ち着いた色味です。
明るい色がお好みの方は、トーン10や12を選んでください。
一方、暗いトーンを希望する方はトーン6や8が適しています。
明るいトーンに「シャドウ」を加えると、透明感のあるナチュラルな仕上がりとなり、とくにブラウン好きの方にピッタリです。
暗いトーンに「シャドウ」を混ぜることで、深みが出て上品な印象になります。
「シャドウ」の量を調整することで、ブラウンの強さや焦げ茶色の深さを変えることも可能です。
ピンク
イルミナカラーの「トワイライト」は、ピンクの繊細な色味が特徴です。
明るめのトーン10や12を選び、シャドウを少なめにすることでトワイライトのピンクが引き立ちます。
その結果、大人可愛い仕上がりとなり、シャドウの透明感が色味を派手過ぎず、ソフトにまとめてくれます。
一方、暗めのトーン、トーン6や8にトワイライトを多めに混ぜると、赤みのあるナチュラルブラウンに近づけることが可能です。
トワイライトを取り入れることで、シックでありながらも華やかな印象のカラーリングを楽しめるでしょう。
まとめ
イルミナカラーはプロ級のカラーをセルフで実現するための選択肢の1つです。
カラーを選ぶ際には、この記事で紹介したレシピをぜひ参考にしてみてください。
ただし、白髪に完全に対応するわけではなく、適切な使い方や注意点が必要です。
イルミナカラーを使ったセルフでの白髪染めを検討している方は、十分に理解を深めた上で楽しみましょう。